私が雑誌で初めて堀部安嗣さんの住宅を見たのが伊豆高原の家、そしてその後初めてお邪魔した堀部事務所の壁に貼られていた大きなポスターの写真も伊豆高原の家でした。
上の写真はその大きなポスターと同じ写真のポストカードです(大昔に頂きました)。
伊豆高原の家の素晴らしさは建築通の方にとっては常識でしょうし、私が語るとその価値を落としかねないのでやめておきますが、包まれている感ありまくりの館です。
さてとにかく私はこの写真が大好きです。まずせっかく自分が設計した家をほぼ木々で覆った写真って、あんた(堀部安嗣って)どうゆう神経なのよ?じゃないですか(死んでも堀部さんに密告しないでいただきたい)。
そのような神経も含め、私はこの写真の角度やら光やら切り取り方やらよく分からないながらも何もかもが印象的で好きです。撮影/齋藤さだむさん
伊豆高原の家についての詳しくは全て発売中のコンフォルトにございますが、この度所有者が継承され堀部事務所さんになったそうです。
舘造園はその継承されるタイミングで今年の2月頃に庭仕事(主に剪定と石仕事)で参加させていただいたというわけでして、長すぎる前置きで本当にすみません。
今回の施工の打合せで堀部さんに(伊豆高原の家で)お会いした日、言葉にはしませんでしたが、あの家にこうして植木屋として呼ばれるなんてと私は感動していました。
今手元にある雑誌コンフォルトでは堀部さんが「自由に、舘さんの好きな感じで~」とおまかせしてくださり剪定した木々越しに佇む伊豆高原の家を見ることができます。
すごいのはその剪定(どこをどのくらいどの程度切るか、透かすか)について「ここからの視線が大事だね」と夫と話していた角度があるのですが、その角度から撮られた1枚が掲載されていることです。
雑誌本文にはこれまでの施主であった森 桜さんの手記があり、今回のカメラマンも(上の)写真と同じく齋藤さだむさん だとありました。
森さんはその事について感無量とありましたが、私も「ああぁ、あの写真(このポストカード)の方に撮ってもらえたんだ、なんか巡り巡ってる!嬉しい」とびっくりしました。
殴られる覚悟で書きますが、齋藤さだむさん、恐らくものすごく有名なカメラマンですよねきっと。
それにしてもですよ、本文を読みますに元施主であった森桜さん(アート・コーディネーター)のご両親は共に弁護士でありそのお母様は生前「伊豆高原の家は堀部さんの代表作だから子どもたちではなく堀部さんに遺したい」と仰っていたそうでたまげます。高尚なお方代表だと思います。
ちなみにそのお子さんである森さんは25年くらい前に舘造園へお越しになった際「土の色がローマっぽいですね」と仰った方でそれがまったく嫌味にならずやはり高尚でだから私は忘れられません。
今朝その話を夫にすると「ローマね~、行ったことねーなぁ」と言っていました。妻は悲しい(私も行ったことありませんが)。